閃輝暗点(せんきあんてん)

それはある日、突然起こった。
 
日曜日の昼下がりのことである。パソコンに向かい、住所録などを整理していた。いつもは、なかなかやらないことなのに、この日に限って何故かやり始めたのだ。
 
と、パソコンの画面が見づらくなった・・・ように思えた。目の前が霞んで良く見えない。う〜ん、パソコンのやりすぎでドライアイにでもなったか?と、何度か目をこすったりしていると、パソコンの画面の真ん中よりもちょっと右上あたりに、何やら黒っぽい点のようなモノが見える。目の中にゴミでも入ったかな?と思っていると、そのモノは段々と大きくなっていく。点滅しているようにも見える。色はグレーっぽくなってきた。
 
エッ?何だ何だ?と思っていると、そのモノは大きさを増し、周辺が段々とギザギザを成して来る。中心は暗いが、エッジは黄色っぽい。パソコンの画面の右を見れば右に、左を見れば左に追随してくる。ん、なんだ?ヤバっ、目がやられたかと思ったが、右目をつぶっても見えるし、左目をつぶっても見えるし、おまけに両目をつぶっても見える。エッ?ってことは、目ではない。ガ〜ン!頭をやられてしまったのだ!!!
脳溢血か脳梗塞か、って医学に知識のない自分は、とにかく最悪の事を考えてしまう。
 
閃輝暗点
 
そんなことを思っている間も、そのモノはさらに大きく、周りのギザギザも鋸の歯のようにハッキリとギザギザになってくる。そのギザギザが黄色く、キラキラとハッキリと輝き始めた。目を開けていることすら苦痛だ。でも、目を閉じても見えるから、なんとも辛い。
あ〜、これはダメだ〜。このままではいつ倒れるかもわからない。
 
とにかく、昼寝のために娘を寝かしつけているママを起こして病院へ行くことに。でも今日は日曜日。救急外来しかやっていないけど、まだ倒れていないしどこも痛くないから救急車を呼ぶほどではない。
大きな病院の救急外来では検査に時間がかかるし、CTを撮られたり、MRIを撮られたりして大変だ。さらに本当に、アタマかどうかもわからない。
ってことで、取りあえず、休日当番の眼科医に診てもらうことにした。そこで目ではなく脳みそがヤラレテいると言われれば、救急車でも呼んでもらって救急病院に運ばれるのも一考だ。
 
で、急きょインターネットで今やっている眼科を探して電話をしたら、5時までやっているから来てくださいとの事。で、時計を見れば4時を回っているし、これから娘を起こして出かけるとギリギリの時間。
 
ところが、例の周辺ギザギザの円形のようなモノは、目の中で最大限に大きくなったあとは、ぼやけて薄くなりどこかへ消えてしまった。その間、初めに点が見え始めてからおよそ20分位の出来事であった。
 
かと言って、病院に行かないのも怖いので、とにかくママの運転で眼科で受診。
なかなかいい先生で、到着したのは5時を数分過ぎていたが、丁寧に診てくれた。視力検査や眼底検査、目の表面の写真撮影など、あれやこれやとやってくれて、『異常ありません。』との事。眼の方は何ともないとのことであった。って、ことはやっぱり、アタマか・・・ガ〜ン!
 
『ギザギザのキラキラした丸い円形の暗くて段々大きくなる物体が見えました。』、などとシドロモドロのことを訴えたもんだから、先生も初めからわかってるくせに、今になって見れば人が悪いが、眼科医なんで眼の検査だけはキッチリとやった上で、横の棚に載っていた教科書をサッと取って、パラパラとページをめくり、これですか?と示したページには、小さな点から、段々と大きくなって、周辺がギザギザになって、チカチカ輝く、円形物体の様子の絵がそのまま載っている。そのページを見た瞬間、『あっ、コレです。』って叫んでしまった自分が、今となっては恥ずかしい。
 
先生が言うには、『閃輝暗点(せんきあんてん)』と言う症状らしい。字が難しいから紙に書いてくれたりする。
で、『閃輝暗点』自体は大丈夫だとのこと。脳梗塞とかの病気とは無関係で、簡単に言えば、目玉の後ろの方の血管が収縮したときに視神経に影響して起こるものらしい。1回や2回起こったくらいならば大丈夫だけど、頻繁に起こるようならば脳外科を受診しなさいとのこと。
 
『閃輝暗点』は、偏頭痛の前兆だということも教わって帰路に着くことにした。その帰り道、車の中で段々と頭が痛くなってきて、マジに偏頭痛だぁ!と納得。
さらに、家に帰ってインターネットで調べると、偏頭痛が起こらない『閃輝暗点』はヤバイ!と書いてあったりして、あぁ〜良かった、偏頭痛になって。なんて思う浅はかな自分であった。
 
インターネットには、ストレスがたまったあとに、ホッとしたときに起こることが多いとも載っていた。確かにストレスはあるだろうけど、ホッとした感覚はないんだけどなぁ。とにかく、今後はホッとしないように、いつでも気を引き締めていなければならない境遇になってしまった。これは本当にストレスだぁ・・・
 
その後数か月、『閃輝暗点』は一度も起こっていない。が、不安だけは残っている。あのギザギザが見えた時には、もう終わりかと思ったからなぁ。
きっと、あなたも『閃輝暗点』になるとびっくりする事でしょう。

 

 
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